夏越祭
夏越祭(なごしのまつり)は、夏を迎えるにあたり、上半期の罪穢を祓い、これから迎える暑さを無事に過ごせますよう願いを込めて執り行われるお祭りです。
半年の間に知らず知らずに身に積もった穢れを「人形(ひとかた)」に託して祓い清め、さらに茅草で作られた大きな「茅の輪」をくぐることにより、疫病や罪穢が取り除かれると伝えられています。
茅の輪のくぐり方には作法があり、「水無月の夏越しの祓する人は、ちとせの命のぶというなり」という古歌を唱えながら、左回り・右回り・左回りと八の字を描くように三度くぐり抜けます。こうして心身を清め、新たな気持ちで後の半年を迎えていただくのが夏越祭の趣旨であります。
茅の輪の起源は、古く『蘇民将来(そみんしょうらい)』の故事にさかのぼります。善行を積んだ蘇民将来に対し、素盞鳴尊(すさのおのみこと)が「もし疫病が流行したなら、茅の輪を腰につければ免れる」と教えられ、蘇民将来がその教えのとおりにして疫病から逃れたという伝承に基づいています。